よみものreport

テレワーカーの郡上暮らし

 

この冬、郡上八幡市街地に隣接した小野地区の愛水舎にて、郡上八幡テレワークの実証実験が行われました。
都心に本社のある企業の社員が、地方に住み、会社に通わず、パソコン等通信機器で仕事をすることができるのか・・・?
それが可能であることが実証されれば、必ずしも仕事で都心に住む必要がないかもしれない・・・すると、これからの働き方に大きな変化が出てくるのではないでしょうか。
今回は、この実証実験に参加されたインテリジェンス ビジネスコンサルタンツの金子さんが、実際に郡上八幡の町家に住んで、愛水舎のHUBGUJOに通って働いた感想を聞きました。

 

 

「金子さんが郡上八幡でテレワークをすることになったきっかけを教えてください。」

会社内で、テレワークの実証実験を郡上八幡で行う話がありましたので、手を挙げました。企業が行うテレワークは、業務の切り出しやすさからエンジニアが一般的ですが、コンサルティング部門がテレワークをしたらどうか、と以前より考えていまして。お客様との打ち合わせやチームメンバーとの共同作業があるコンサルティング部門のテレワークが成立すれば、それはワークスタイルの変革として大きなことと思ったからです。

 

 

「東京から郡上八幡に来ることで生活の変化はありましたか?」

東京では通勤に2時間費やしていました。朝7時に起床して、通常9時~18時の勤務。郡上八幡に来て、勤務時間は同じでも、通勤にかかる時間が大幅に減ったので、その分自分の時間を楽しめるようになりました。

 

 

「テレワークを通して仕事に変化はありましたか?」

具体的に言うと、社内ミーティングですね。東京の職場はいつでも相談ができる環境でしたが、郡上八幡に来てからはネット会議を主に使用しますので時間が限られます。この点を懸案に思っていましたが、テレワークの中でネット会議の時間が非常に重要な時間となりました。どうすれば限られた時間の中で画面を通した相手に本質を伝えることができるのか、としっかり事前準備をしますし、打ち合わせ内容についても効率的になったと思います。

また、営業活動としてお客様先に出向く頻度は少なくなりますが、東京在勤者がお客様先に訪問し、状況をネット会議で共有、私からもこまめにお客様に連絡をすることで信頼を得ることが出来ました。3か月の実証実験期間中に新規の受注顧客をすることも出来たため、自分としても手ごたえを感じました。新規顧客獲得の営業は東京で行い、調査分析を地方のテレワーカーが行うなどの業務の役割分担ができれば、チーム全体が郡上八幡に移転しても問題はないと感じます。

「東京と比べて郡上八幡での休日はどうでしたか?」

テレワークをしている愛水舎(仕事場)の近くにスポーツジムがあって、そこに週5で通っていましたね。東京のスポーツジムは月会費も高い上に混んでいますが、郡上八幡のスポーツジムは月会費3000円と安く、適度に空いています。3ヵ月間、週5で通いまして7㎏痩せましたね。(笑)またコンビニも多くないので、誘惑が少なく、健康的になりました。

しかし、郡上八幡には娯楽施設が少なく、家族連れなら子供と遊ぶなどで時間を使うと思いますが、単身者は時間を持て余します。休日は趣味のプラモデルを作ったり、映画鑑賞やFC岐阜のサッカー観戦に名古屋や岐阜まで出たり・・・高速バスはかなり活用しましたね。

「愛水舎(仕事場)はどんなところですか?」

吉田川の横に愛水舎があるので、川の水の流れを見ながら仕事をする、というのは東京ではなかったです。前の道路が小中学校の通学路でもあるので、仕事中に子供たちの声が聞こえてきたりもしましたね。家に帰る道中に地元の小学生たちが挨拶してくれて、一緒に話しながら帰ることもありました。都内であれば、不審者と思われてしまいます。(笑)

愛水舎には同じくテレワークをしている方やHUBGUJOの方がいまして、所属する会社は違いますが、働く場を同じくする仲間との食事はよかったです。

「移住を考えると」

本格的に郡上八幡に移住するとなると、地域との関わりについて、手厚い協力が必要と思いました。テレワークでフルタイム働いていると地域の人との接点が少なかったため、寄合やイベント参加への地元の方の仲介があると嬉しかったです。郡上八幡の町家暮らしは、冬の時期だったので、お風呂場が寒い・・・などはありましたが、非常にいい環境でした。

 

 

「最後に…」

「吉田川や遠くの山が雪で白くなる景色もよかったですが、次は夏に来たいです!」
インタビューを通して、この実証実験で実際に郡上八幡に住み、働いてみることで、いろいろな問題点が明確になったように感じられました。

これらの課題を解決することで、緑あふれる環境の良いところで子供を育てたい、年老いた親元に帰って一緒に暮らしたい、という願いと、これまでと同じような仕事内容と収入を両立させることが出来れば、郡上に帰ってくる人、移住する人がもっと増えるのでは・・・と思いました。今後の展開に期待しております!